賃貸のプロパンガス料金

入居者の一存では会社を替えられません。それでも、確かめられることと尋ねられることがあります。

結論を先に。 2025年4月2日以降に結んだ賃貸の契約では、建物の所有者が本来負担すべき消費設備の貸与等の費用を、入居者のガス料金として請求しないこととされています(施行規則第16条第15号の9。費用負担の方法について合意がある場合は例外)。 それより前から続く契約にはこの禁止は適用されませんが、販売事業者には契約の更新を速やかに行う努力義務があります。 自分の契約がこれに当たるかの断定はできないので、契約の時期と請求書の内訳を確かめ、書面や根拠を販売事業者に尋ねてください。

なぜ賃貸で高くなりやすいのか

制度を作った側が、理由をはっきり書いています。

これまでLPガス業界では、消費者とのLPガス販売契約を目的として、オーナー等に対し過大な営業行為を展開し、 その営業費用をLPガス料金に上乗せして消費者から回収してきたことから、LPガス料金は不透明で高いと指摘されてきました。

出典:中部経済産業局「LPガス料金の表示・計上方法に関する新しいルールが施行されました」(最終更新日 2025年4月23日)

ガス会社を選ぶのは大家さんや管理会社で、料金を払うのは入居者です。 選ぶ人と払う人が違うので、選んでもらうための費用が、払う人の料金に乗りやすい構造になっていました。 入居者が自分で会社を替えられないことも、その構造を支えていました。

賃貸集合住宅では、入居前に料金を知る仕組みが制度になっています

資源エネルギー庁は「賃貸集合住宅におけるLPガス料金の透明化」のページで、入居者が置かれてきた状況を次のように書いています。

賃貸集合住宅の消費者は、入居した後になってからLPガス料金を知ることが多く、料金に不満があっても受け入れるしかないという状況におかれています。

出典:資源エネルギー庁「賃貸集合住宅におけるLPガス料金の透明化」

同じページによると、令和3年6月に経済産業省と国土交通省が、入居希望者へ料金の情報を提供するよう関係業界に依頼しました。 ところが、その後の調査では、ガス事業者から賃貸集合住宅の所有者などへ料金の情報が渡っている割合は低く、取り組みは十分に浸透していないとされています。 そこで、料金の情報提供は事業者の自主的な取り組みから格上げし、制度上の措置として位置づけることとされました。 入居前に料金の高い安いを知ったうえで入居できるようにする、という考え方です。

自分の入居する建物で、料金の情報がいつ誰から渡されるかは、このページからは断定できません。 入居前に不動産会社や管理会社へ料金の内訳を尋ね、契約後は検針票を検針票の読み方で確かめてください。 大家さん負担の設備費の扱いは上の節、事業者の切り替えに関する制限は切り替えの制限のページにまとめています。

出典:資源エネルギー庁「賃貸集合住宅におけるLPガス料金の透明化」。確認日 2026年10月16日。

2025年4月に禁止されたこと

この禁止は、液化石油ガス法施行規則(法律を実施するための省令)の第16条第15号の9に、次のように定められています。

液化石油ガスの販売契約を締結している一般消費者等と消費設備が設置された施設又は建築物の所有者とが異なる場合において、 液化石油ガスの販売契約を締結している一般消費者等に対し液化石油ガスの供給に係る料金を請求するときは、 当該施設又は建築物の所有者が本来負担すべき消費設備の貸与等に係る費用を請求しないこと。 ただし、液化石油ガス販売事業者と当該一般消費者等との間で消費設備の貸与等に係る費用の負担方法について合意がある場合は、この限りでない。

出典:e-Gov法令検索「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則」第16条第15号の9

「契約者と建物の所有者が違う場合」=まさに賃貸のことです。 大家さんが本来負担すべき設備の費用を、入居者のガス料金として請求してはいけない、と書かれています。

資源エネルギー庁のQ&Aは、その考え方をさらに具体的に書いています。

賃貸集合住宅のオーナー等が設置した、給湯器、エアコン等の設備の費用は 家賃として回収されるべきものであり、LPガス料金として回収するのは不適当。

出典:資源エネルギー庁「三部料金制の徹底(設備費用の外出し表示・計上禁止)に関するQ&A」(令和7年3月25日策定)

契約の時期による適用の違い(2025年4月2日の前後)

契約の時期この禁止の扱い
2025年4月2日以降に結んだ契約適用されます
それより前から続いている契約適用されません。ただし販売事業者には、契約の更新を速やかに行う努力義務があります

出典は令和6年改正液石法施行規則の附則第2条(経過措置)と第3条(努力義務)です。 第3条の原文は「液化石油ガス販売事業者は、…必要な液化石油ガス販売契約の更新を速やかに行うよう努めるものとする」。 努力義務を負うのは販売事業者で、その中身は契約の更新です。 古い契約のままなら、新しい規律に沿った契約へ更新してほしいと求めることはできます。 古い契約で設備の費用が入っていても、それだけで違反とは言えません。 一方で、料金を3つに分けて通知する義務のほうは、新旧どちらの契約にも適用されます。

「設備料金 0円」でも、費用がゼロとは限りません

ここがいちばん見落とされます。同じQ&Aは、設備料金を「0円」「該当なし」とする場合について、 事業者側に次を求めています。

LPガス料金に、設備料金が含まれていない(該当なし、0円)とする場合、対外的に説明できるようにしておく必要。 特に、賃貸集合住宅等のオーナー等に対して無償で設備貸与等を行っている場合、 消費者が負担するLPガス料金でその費用を回収していると考えられることから、 客観的な根拠により当該費用を含めていないと説明できるようにしておく必要あり。

出典:資源エネルギー庁「三部料金制の徹底(設備費用の外出し表示・計上禁止)に関するQ&A」(令和7年3月25日策定)

規制する側が、その費用が基本料金や従量料金に紛れている可能性を前提に置いているということです。 請求書の設備料金が0円だからといって、設備の費用を負担していないとは限りません。

設備料金の欄があって何の費用か分からないときや、設備費を求められたときは、その設備が会社の持ち物かどうかと、費用の額・取り立て方が契約時の書面にどう書かれているかを確かめます。 確かめる書面の項目は設備の所有の確認と契約書面の費用にまとめています。

ガス会社から値上げの通知が来たときの確認(通知の書面・3つの区分への内訳・相談先)は、賃貸で値上げの通知を受けたときの確認に書いています。

確かめる順番

  1. 請求書が3つに分かれているか。 基本料金・従量料金・設備料金。該当が無くても「0円」「該当なし」と示すことが求められています。分かれていなければ、その点から尋ねられます。
  2. 自分の額が、地域のどのあたりか。 交渉でも相談でも、数字が無いと話になりません。判定で、県内の地域まで絞って確かめられます。請求額が「基本料金+従量単価×使用量」でどう決まるかは、料金の計算方法と計算例で確かめられます。
  3. 設備料金が0円なら、その根拠。 上のQ&Aが、説明できるようにしておくことを求めています。
  4. 契約時の書面を出してもらう。 設備の所有関係や費用の負担方法は、契約時に交付される書面の記載事項です(施行規則第13条第1項)。 手元に無くても、求めれば交付しなければならないと定められています(同第3項)。 大家さんや管理会社が契約者の場合は、まずどちらが契約者かを確かめてください。
  5. ガスと関係のない設備が混ざっていないか。 電気エアコン、インターホン、Wi-Fi機器などの費用をLPガス料金として請求することは、新規契約では禁止されています(第15号の8)。

検針票の3つの額から、使った量に関係なく毎月かかる部分を足し出す例

ガスの請求書が、家賃や共益費とは別に、検針票の形で届く賃貸があります。そのとき、使用量が少ない月でも残る金額は、基本料金と設備料金の合計で見当がつきます。 下の数字はすべて説明のための仮のもので、実在の請求ではありません。

検針票の3つの額と、使用量に関係なく残る部分(仮の数字)
区分1月(使用量が多い月)7月(使用量が少ない月)
基本料金1,800円1,800円
従量料金4,000円1,000円
設備料金600円600円
基本料金+設備料金(使用量に関係なく残る部分)2,400円2,400円

手順は、(1)検針票に3つの区分が分かれて載っているかを見る、(2)使用量が違う2か月で基本料金と設備料金が変わらないかを見る、(3)設備料金の算定根拠を販売事業者へ尋ねる、の順です。 この計算は額の見当をつけるもので、設備料金に入っている費用が認められるかどうかは判断しません。判断が要るときは、 設備料金に入れてよい費用・いけない費用を読み、契約や請求の内容は公的な相談窓口へ相談してください。 退去や入居のときの閉栓・開栓の手数料、設備の撤去、配管の精算を確かめる順番は、引っ越しで確かめる費用のページにあります。

入居時に貸主・管理会社へ確かめる項目

入居の申込みや契約の前後に、誰に何を尋ねるかを表にしました。販売事業者へ直接尋ねられる項目と、貸主・管理会社を通す項目があります。

確かめること尋ねる先根拠
入居前にガスの料金表を見られるか管理会社・貸主、または販売事業者第16条第15号の2。賃貸借契約の前に料金表等を提示するよう努めること(努力義務)
料金が基本料金・従量料金・設備料金に分かれ、算定根拠が通知されるか。設備料金がなければ「0円」と示されるか販売事業者(請求書は契約者へ届く)第16条第15号の7
設備料金に入っている費用が、配管とガス器具等の設置等に係るものだけか販売事業者第16条第15号の8(2025年4月2日以降の契約)
貸主が負担すべき設備の費用が、ガス料金に乗っていないか。乗せるなら入居者との合意があるか販売事業者。契約者が誰かは管理会社・貸主第16条第15号の9(2025年4月2日以降の契約。合意がある場合は例外)
設備料金が0円の場合、その費用が基本料金や従量料金に含まれていないという説明販売事業者資源エネルギー庁のQ&A(条文ではなく、事業者に求める説明の考え方)
設備や配管の所有関係、費用の負担方法、解約時の配管の精算額の計算方法が書面にあるか契約者から販売事業者へ。電子で受け取った場合も書面を求められる第13条第1項第6号〜第9号・第3項

条文は e-Gov 法令検索「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則」で照合しました(確認日 2026年10月9日)。この表は尋ねる項目の整理で、個別の契約が省令に適合しているかの判断ではありません。

時期別に見ると

同じ項目を、入居前・入居中・退去時のどの場面で使うかに並べ替えました。条文の内容は上の表と同じです。

時期確かめる書面尋ねる先くわしいページ
入居前ガスの料金表(提示は努力義務)管理会社・貸主、または販売事業者賃貸の入居前に確かめる料金表
入居中請求書(3つの区分と算定根拠)、契約時の書面販売事業者。契約者が誰かは管理会社・貸主設備料金とは、設備料金に入れてよい費用・いけない費用
退去時契約時の書面にある、設備の所有関係・費用の負担方法・配管の精算額の計算方法契約者から販売事業者へプロパンガスの解約と精算

まず自分の位置を数字で確かめる
請求書の基本料金・従量料金・使用量を入れると、あなたの地域の最低・平均・最高のどこにいるかが出ます。 県の平均ではなく、県内をさらに分けた地域で比べられます。 判定へ

集合住宅の「子メーター」で請求される場合

アパートなどの集合住宅では、ガス会社のメーター(親メーター)とは別に、各部屋の使用量を測る「子メーター」を付け、部屋ごとにガス代を配分する形があります。この子メーターの数字を請求の根拠にしているかどうかで、確かめる点が変わります。

請求の決め方子メーターの扱い
子メーターの計量値で料金を決めている取引の計量に使う計量器にあたり、検定に合格したもので、検定の有効期間内であることが必要です
部屋の面積などで按分し、子メーターの値は使っていない取引の計量に使う計量器にはあたりません

計量法の第16条は、取引での計量に使う特定の計量器について、検定に合格した証印があるものだけを使えると定めています。有効期間が決まっているものは、期間を過ぎたものも使えません。有効期間が切れた子メーターは、ビルの管理者または居住者の責任で取り替えるよう、北九州市の計量検査所が案内しています。

お使いの子メーターに検定の証印と有効期限のラベルが付いているかは、目で見て確かめられます。ラベルが見当たらない、期限が過ぎているように見えるときは、請求の決め方を貸主・管理会社に尋ね、判断に迷う場合はお住まいの地域の計量検査所(自治体の計量担当)に問い合わせてください。このページは、個別の請求が適法かどうかを判断するものではありません。

出典:北九州市「子メーターについて」(更新日 2025年10月30日)、計量法第16条・第72条(e-Gov 法令検索)。確認日 2026年10月15日。

このページでしないこと

ガス会社の紹介も、乗り換えの取次ぎもしていません。 賃貸では入居者が替えられないので、そもそも成り立ちません。 個別の契約が省令に適合しているかどうかの判断もしません。適用は個別の事情で決まります。

管理会社や大家さんに尋ねても解決しない場合は、お住まいの地域を管轄する経済産業局の窓口、 または消費生活センターへご相談ください。経済産業省はLPガス商慣行通報フォームも設けています。

よくある質問

請求書が基本料金・従量料金・設備料金に分かれていない場合はどうしますか?

施行規則第16条第15号の7は、請求時に費用を3つの性質に整理し、算定根拠を通知するよう定めています。 内訳と算定根拠を販売事業者へ尋ねられますが、個別の請求が規定に適合するかの判断は、このサイトではしません。

設備料金が0円なら、設備の費用は負担していませんか?

そうとは限りません。資源エネルギー庁のQ&Aは、設備料金を0円や「該当なし」とする場合も、設備費用を料金に含めていないことを客観的な根拠で説明できるよう求めています。 基本料金や従量料金の算定根拠もあわせて確かめます。

2025年4月2日より前から続く契約も、新しい計上禁止の対象ですか?

第16条第15号の8・第15号の9は、施行日前から続く契約には適用されません。 一方、第15号の7の三部料金制は契約時期を問わず適用され、附則第3条は販売事業者に必要な契約更新を速やかに行う努力義務を置いています。

契約時の書面を電子で受け取り、紙が手元にない場合はどうしますか?

施行規則第13条第3項は、電子的な方法で提供された場合でも、相手から求めがあれば契約締結時の事項を記載した書面を交付するよう定めています。 まず契約者が誰かを確かめ、契約者から販売事業者へ書面を求めます。

エアコンやWi-Fi機器の費用をLPガス料金に入れられますか?

2025年4月2日以降の新規契約では、第16条第15号の8が、配管やガス器具等の設置等に係る費用以外を設備料金として請求しないよう定めています。 運用基準は、ガスの消費と関係のない空調等の設備費用がこの範囲に当たると説明しています。

関連するページ