何が変わったか
令和7(2025)年4月2日、「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」 (令和6年経済産業省令第32号)が施行されました。経済産業省の発表によると、変わったのは次の3点です。
- LPガス料金を請求するときは、基本料金・従量料金・設備料金の3つに分けて通知することを義務付け
- 電気エアコンやインターホン、Wi-Fi機器等、LPガス消費と関係のない設備費用をLPガス料金として請求することを禁止
- 賃貸住宅向けLPガス料金においては、ガス器具等の消費設備費用についてもLPガス料金として請求することを禁止
1つ目は新規契約・既存契約ともに適用されます。2つ目と3つ目は、2025年4月2日以降に結んだ新規契約にだけ適用されます。 出典:経済産業省「LPガス料金の表示・計上方法に関する新しいルールを施行しました」(2025年4月2日)。
なぜそうなったか
規制する側自身が、背景をこう書いています。
これまでLPガス業界では、消費者とのLPガス販売契約を目的として、オーナー等に対し過大な営業行為を展開し、 その営業費用をLPガス料金に上乗せして消費者から回収してきたことから、LPガス料金は不透明で高いと指摘されてきました。
出典:中部経済産業局「LPガス料金の表示・計上方法に関する新しいルールが施行されました」(最終更新日 2025年4月23日)。
つまり、賃貸物件のオーナーや管理会社への営業費用が、入居者のガス料金に混ざっていたということです。 入居者はガス会社を選べないのに、選ばせるための費用を負担していたという構図が、制度の出発点にあります。
3つの内訳
| 基本料金 | 使った量にかかわらず毎月かかる額。条文では「消費した液化石油ガスの量にかかわらず生ずる費用」 |
|---|---|
| 従量料金 | 使った量に応じてかかる額。条文では「当該量に応じて生ずる費用」 |
| 設備料金 | ガス会社が設置した配管やガス器具(給湯器・コンロなど)を使っている場合に、その貸与等の費用として支払う額。条文では「消費設備の貸与等に係る費用」 |
根拠の条文
義務を定めているのは、液化石油ガス法施行規則第16条第15号の7(販売の方法の基準)です。原文はこうなっています。
一般消費者等に対して液化石油ガスの供給に係る料金その他の一般消費者等の負担となる費用を請求するときは、 当該費用を当該一般消費者等が消費した液化石油ガスの量にかかわらず生ずる費用及び当該量に応じて生ずる費用 並びに消費設備の貸与等に係る費用に整理し、その料金その他の一般消費者等の負担となる費用の算定根拠を通知すること。
条文には「基本料金」「従量料金」「設備料金」という言葉は出てきません。出てくるのは費用の性質による3つの区分で、 資源エネルギー庁の資料がそれぞれに次の名前を当てています。
| 条文の言い方 | 呼び名 |
|---|---|
| 消費した液化石油ガスの量にかかわらず生ずる費用 | 基本料金 |
| 当該量に応じて生ずる費用 | 従量料金 |
| 消費設備の貸与等に係る費用 | 設備料金 |
関係する規定はもう2つあります。
- 第15号の8「消費設備に係る配管及び液化石油ガス器具等の設置等に係る費用以外の費用を消費設備の貸与等に係る費用として請求しないこと。」
エアコンやWi-Fi機器のように、ガスと関係のない設備の費用を設備料金に混ぜることを禁じています。 - 第15号の9「(契約者と建物の所有者が異なる場合に)当該施設又は建築物の所有者が本来負担すべき消費設備の貸与等に係る費用を請求しないこと。ただし、…費用の負担方法について合意がある場合は、この限りでない。」
賃貸住宅で、本来は大家さんが負担すべきガス器具などの費用を、入居者のガス料金に付け替えることを禁じています。
適用の範囲が3つで違います。3つに分けて通知する義務(15号の7)は、新規契約でも既存契約でも適用されます。 一方、15号の8と15号の9は2025年4月2日以降に結んだ新規契約にだけ適用され、既存契約は早期に移行する努力義務にとどまります。
条文は e-Gov 法令検索の「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則」(平成9年通商産業省令第11号)、 適用範囲と呼び名は資源エネルギー庁「三部料金制の徹底(設備費用の外出し表示・計上禁止)に関するQ&A」(令和7年3月25日策定)で確認しました(確認日 2026年9月12日)。
検針票と請求書は別扱い
同じQ&Aに、書き方についての整理があります。ここは実際に自分の紙を見るときに効きます。
- 3つを並べて記載することが求められるのは「請求書」です。 検針票に設備料金を記載することまでは求められていません(ただし請求書と検針票の内容が共通していることが望ましい、とされています)。 このサイトで設備料金を空欄のままでよいことにしているのは、このためです。
- 該当するものが無くても、3つに分けて示すことが必要です。 従量料金だけの料金であっても、基本料金や設備料金について「0円」「該当なし」と記載することが求められます。
- Q&Aは、「設備料金のみ請求書の備考欄に記載する」「『設備料金なし』のはんこを押す」といった対応は規律を満たさない、とはっきり書いています。
「設備料金 0円」でも、費用がゼロとは限らない
ここがこのページでいちばん伝えたい点です。同じQ&Aは、設備料金を「該当なし」「0円」とする場合について、 事業者側に次を求めています。
LPガス料金に、設備料金が含まれていない(該当なし、0円)とする場合、対外的に説明できるようにしておく必要。 特に、賃貸集合住宅等のオーナー等に対して無償で設備貸与等を行っている場合、 消費者が負担するLPガス料金でその費用を回収していると考えられることから、 客観的な根拠により当該費用を含めていないと説明できるようにしておく必要あり。
つまり、設備料金の欄が0円でも、その費用が基本料金や従量料金に紛れている可能性を、規制する側が前提として見ているということです。 だから「設備料金0円だから安心」とは言えません。基本料金や従量料金が地域の中で高い側なら、そこに何が入っているのかを尋ねる理由になります。
Q&Aは規律の趣旨についても、「賃貸集合住宅のオーナー等が設置した、給湯器、エアコン等の設備の費用は家賃として回収されるべきものであり、LPガス料金として回収するのは不適当」と書いています。
自分の紙を見るときに
- 請求書が3つに分かれているか。 分かれていなければ、内訳の説明を求めることができます。「該当なし」も含めて3つ示すことが求められています。
- 設備料金が、実際に使っている設備に対応しているか。 エアコンやWi-Fi機器など、ガスと関係のない設備の費用が混ざっていないか。
- 賃貸にお住まいなら、大家さんが本来負担すべき費用が入っていないか。 ただし2025年4月2日より前からの契約では、この規律はまだ努力義務です。
- 金額が妥当かどうかは、判定で自分の地域の分布と比べられます。ただし設備料金の相場が公表されている地域は限られ、県内地域で公表が無い場合は県全体の値と比べます。それも無い14県では判定を出しません。
このページでしないこと
個別の契約が省令に適合しているかどうかの判断はしません。適用は個別の事情で決まります。 疑問があるときは、まず契約しているガス会社に内訳の説明を求め、それでも解決しない場合は お住まいの地域を管轄する経済産業局の窓口、または消費生活センターへご相談ください。 経済産業省は「LPガス商慣行通報フォーム」も設けています。