設備料金とは

2025年4月から、検針票の料金が3つに分けて示されるようになりました。その3つ目です。

結論を先に。 設備料金は、ガス会社の配管や給湯器などを借りている契約で、その貸与にかかる費用として示される欄です。欄があるか・額がいくらかは契約ごとに違い、毎月かかるかどうかも契約で決まります。 欄が「0円」や「該当なし」でも、費用がゼロとは限りません。請求書の内訳で、基本料金・従量料金に上乗せされていないかを確かめます。 根拠は施行規則第16条第15号の7〜9で、原文は下の「根拠の条文」にあります。

手元の検針票や請求書に載っている名目から確かめる先を引くなら、名目から引く表へ進めます。名目の中身は事業者ごとに違うため、書面で確認します。

何が変わったか

令和7(2025)年4月2日、「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」 (令和6年経済産業省令第32号)が施行されました。経済産業省の発表によると、変わったのは次の3点です。

1つ目は新規契約・既存契約ともに適用されます。2つ目と3つ目は、2025年4月2日以降に結んだ新規契約にだけ適用されます。 出典:経済産業省「LPガス料金の表示・計上方法に関する新しいルールを施行しました」(2025年4月2日)。

なぜそうなったか

規制する側自身が、背景をこう書いています。

これまでLPガス業界では、消費者とのLPガス販売契約を目的として、オーナー等に対し過大な営業行為を展開し、 その営業費用をLPガス料金に上乗せして消費者から回収してきたことから、LPガス料金は不透明で高いと指摘されてきました。

出典:中部経済産業局「LPガス料金の表示・計上方法に関する新しいルールが施行されました」(最終更新日 2025年4月23日)。

つまり、賃貸物件のオーナーや管理会社への営業費用が、入居者のガス料金に混ざっていたということです。 入居者はガス会社を選べないのに、選ばせるための費用を負担していたという構図が、制度の出発点にあります。

3つの内訳

基本料金使った量にかかわらず毎月かかる額。条文では「消費した液化石油ガスの量にかかわらず生ずる費用」
従量料金使った量に応じてかかる額。条文では「当該量に応じて生ずる費用」
設備料金ガス会社が設置した配管やガス器具(給湯器・コンロなど)を使っている場合に、その貸与等の費用として支払う額。条文では「消費設備の貸与等に係る費用」

5m³しか使わない月 基本料金が34%

50m³使う月 基本料金が5%

  • 左が基本料金(使わなくてもかかる分)
  • 右が使った量に応じて動く分

公表されている311地域の平均額から出した中央値です。 基本料金は使う量が変わっても額そのものは動かないので、 使う量が少ない月ほど請求に占める割合が高くなります。 節約が効くのは右側だけなので、そこが小さい月ほど節約は効きにくくなります。 右側に設備料金が入っているかどうかは、公表資料の中で書き方が一致していません(このデータについて)。そのため、この額は3つには分けていません。 地域ごとの差は一人暮らしのプロパンガス代に載せています。

根拠の条文

3つに分けて通知する義務(第16条第15号の7)

義務を定めているのは、液化石油ガス法施行規則第16条第15号の7(販売の方法の基準)です。原文はこうなっています。

一般消費者等に対して液化石油ガスの供給に係る料金その他の一般消費者等の負担となる費用を請求するときは、 当該費用を当該一般消費者等が消費した液化石油ガスの量にかかわらず生ずる費用及び当該量に応じて生ずる費用 並びに消費設備の貸与等に係る費用に整理し、その料金その他の一般消費者等の負担となる費用の算定根拠を通知すること。

出典:e-Gov法令検索「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則」第16条第15号の7

条文には「基本料金」「従量料金」「設備料金」という言葉は出てきません。出てくるのは費用の性質による3つの区分で、 資源エネルギー庁の資料がそれぞれに次の名前を当てています。

条文の言い方呼び名
消費した液化石油ガスの量にかかわらず生ずる費用基本料金
当該量に応じて生ずる費用従量料金
消費設備の貸与等に係る費用設備料金

設備料金に混ぜてはいけないもの(第15号の8・第15号の9)

関係する規定はもう2つあります。

賃貸の入居前に料金表で何を確かめられるかは、賃貸の入居前に確かめる料金表にまとめています。

どの契約に効くか

適用の範囲が3つで違います。3つに分けて通知する義務(15号の7)は、新規契約でも既存契約でも適用されます。 一方、15号の8と15号の9は2025年4月2日以降に結んだ新規契約にだけ適用され、既存契約には適用されません(附則第2条)。ただし附則第3条により、販売事業者には契約の更新を速やかに行う努力義務があります。

条文は e-Gov 法令検索の「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則」(平成9年通商産業省令第11号)、 適用範囲と呼び名は資源エネルギー庁「三部料金制の徹底(設備費用の外出し表示・計上禁止)に関するQ&A」(令和7年3月25日策定)で確認しました(確認日 2026年9月12日)。

検針票と請求書は別扱い

同じQ&Aに、書き方についての整理があります。ここは実際に自分の紙を見るときに効きます。

「設備料金 0円」でも、費用がゼロとは限らない

ここがこのページでいちばん伝えたい点です。同じQ&Aは、設備料金を「該当なし」「0円」とする場合について、 事業者側に次を求めています。

LPガス料金に、設備料金が含まれていない(該当なし、0円)とする場合、対外的に説明できるようにしておく必要。 特に、賃貸集合住宅等のオーナー等に対して無償で設備貸与等を行っている場合、 消費者が負担するLPガス料金でその費用を回収していると考えられることから、 客観的な根拠により当該費用を含めていないと説明できるようにしておく必要あり。

出典:資源エネルギー庁「三部料金制の徹底(設備費用の外出し表示・計上禁止)に関するQ&A」(令和7年3月25日策定)

つまり、設備料金の欄が0円でも、その費用が基本料金や従量料金に紛れている可能性を、規制する側が前提として見ているということです。 だから「設備料金0円だから安心」とは言えません。基本料金や従量料金が地域の中で高い側なら、そこに何が入っているのかを尋ねる理由になります。

Q&Aは規律の趣旨についても、「賃貸集合住宅のオーナー等が設置した、給湯器、エアコン等の設備の費用は家賃として回収されるべきものであり、LPガス料金として回収するのは不適当」と書いています。 ボンベの交換や配送の費用が、検針票の基本料金・従量料金・設備料金のどれに入っているかを尋ねる順番は、ボンベ交換の決まりのページにあります。

設備料金の公表値は、地域でどれだけ違うか

資源エネルギー庁「LPガス価格調査」は、設備料金も最低・平均・最高で公表しています。 代表として、東京都・愛知県・北海道の都道府県全体の値を並べます(選んだ3つは、このサイトの料金計算の例と同じです)。 同じ県の中でも、最低と最高にはっきり開きがあります。

設備料金の公表値(都道府県全体)
都道府県最低平均最高
東京都110円205円300円
愛知県100円125円150円
北海道110円405円2,200円

資源エネルギー庁「LPガス価格調査」(令和8年8月末現在)の公表値をそのまま並べています。 設備料金は公表されていない地域が多く、公表額が1つだけの地域もあります(このデータについて)。 最低と最高は調査に答えた別々の店の額で、どの世帯にも起こる額という意味ではありません。 この表は、請求書の設備料金が妥当かどうかを判断するものではありません。

平均が高い地域と低い地域

県の下の地域(調査上の区分)のうち、設備料金の平均が高いほうと低いほうを、それぞれ上位だけ示します。全地域の一覧ではありません。

設備料金の平均が高い地域(5地域)
地域最低平均最高
北海道・日高・胆振2,200円2,200円2,200円
岐阜県・飛騨1,100円1,100円1,100円
埼玉県・秩父1,000円1,000円1,000円
岐阜県・中濃1,000円1,000円1,000円
徳島県・徳島1,000円1,000円1,000円
設備料金の平均が低い地域(4地域)
地域最低平均最高
愛知県・西三河100円100円100円
岡山県・備前100円100円100円
徳島県・県東100円100円100円
静岡県・藤枝100円105円110円

資源エネルギー庁「LPガス価格調査」(令和8年8月末現在)の公表値から、設備料金が公表されている地域だけを取り出し、平均の高い順・低い順に並べたものです(並べ替えと抜き出しのみの加工)。 平均が同じ額の地域が5件目をまたぐときは、その額の地域を表から外しています。 最低・平均・最高がすべて同じ額の地域は、公表額が1つだけの地域です。 地域の平均の差は、地域の違いのほか、調査に答えた店の数や顔ぶれの違いも含みます。この表は、請求書の設備料金が妥当かどうかを判断するものではありません。

月額を年額・5年・10年に換算すると

設備料金は毎月の額が小さいため、積み上げた大きさが見えにくくなります。上の都道府県別の平均(月額)を、掛け算だけで換算しました。

設備料金の平均を、年額・5年・10年に換算した額(都道府県全体)
都道府県月額(平均)1年5年10年
東京都205円2,460円12,300円24,600円
愛知県125円1,500円7,500円15,000円
北海道405円4,860円24,300円48,600円

1年は月額の12か月分、5年は60か月分、10年は120か月分です。年数は換算のための例で、実際の契約年数や、設備料金が請求され続ける期間を示すものではありません。 お手元の請求書の設備料金(月額)に月数を掛ければ、同じ見方で換算できます。この表は、設備料金の計上が認められるかどうかを判断するものではありません。

上の表に自分の県が無いときは、検針票の設備料金(月額)に月数を掛けて確かめられます。下は計算の手順を見るための入力例で、数字はすべて説明のための仮のもので、実在の請求ではありません。

設備料金(月額)の入力例と、1年・3年・契約期間ごとの累計(仮の数字)
検針票の設備料金(月額)1年(×12)3年(×36)7年(×84)
300円3,600円10,800円25,200円
800円9,600円28,800円67,200円
1,500円18,000円54,000円126,000円

年数(3年・7年)は計算のための例で、実際の契約年数や、設備料金が請求され続ける期間を示すものではありません。 累計の大きさは、設備料金の計上が認められるかどうかとは別の話です。内訳の説明を求めるときは、下の「そのまま言える形にすると」を使えます。

検針票の欄の読み取り例(仮の数字)

検針票の設備料金の欄を、ほかの欄と並べて読む例です。

検針票の欄仮の数字表すもの確かめる先
ご使用量10 m³量。料金の額ではない検針票の読み方
基本料金(区分1)1,500 円使った量にかかわらずかかる費用施行規則第16条第15号の7、基本料金のページ
従量料金(区分2)7,000 円単価×使用量の額(単価ではなく額)施行規則第16条第15号の7、従量単価のページ
設備料金(区分3)500 円消費設備の貸与等にかかる費用施行規則第16条第15号の7・第15号の8・第15号の9(このページ)

数字はすべて説明のための仮のもので、実際の額や相場ではありません。欄の呼び名は検針票の読み方と同じで、実物の名前や並びは会社ごとに違います。

自分の紙を見るときに

そのまま言える形にすると

「制度上たずねられます」と言われても、何と言えばよいかは分かりにくいものです。 下はそのまま口に出せる形にしたものです。どれも公表されている規定に対応しています。 個別の契約が規定に適合しているかどうかの判断は、このサイトではしません。

言うこと対応する規定
請求書の基本料金・従量料金・設備料金それぞれの額と、その算定根拠を教えてください。 施行規則 第16条第15号の7(3つに整理して算定根拠を通知すること)
請求書が3つに分かれていないようです。「該当なし」も含めて3つに分けて示していただけますか。 同上。該当が無くても「0円」「該当なし」と示すことが求められています
設備料金が0円ですが、設備の費用はどの料金に含まれていますか。含めていない場合は、その根拠を教えてください。 資源エネルギー庁のQ&A(0円とする場合は客観的な根拠で説明できるようにしておく必要)
設備料金に、ガスと関係のない設備の費用が含まれていませんか。 同 第15号の8(配管・ガス器具等以外の費用を設備料金として請求しないこと)
(賃貸の場合)大家さんが本来負担すべき設備の費用が、私のガス料金に含まれていませんか。 同 第15号の9(建物の所有者が本来負担すべき費用を請求しないこと。合意がある場合は例外)
(2025年4月2日より前からの契約の場合)新しい規律に沿った内容へ、契約を更新していただけますか。 令和6年改正の附則第3条(販売事業者は契約の更新を速やかに行うよう努める)
契約時にお渡しいただいた書面を、あらためて書面で出していただけますか。 施行規則 第13条第3項(求めがあったときは書面を交付しなければならない)

額そのものが高いかどうかは、これとは別の話です。 プロパンガスは自由料金制なので、高いこと自体は違反ではありません。 自分の額が地域のどのあたりかは判定で確かめられます。

返ってきた答えの読み方

答えが規定の求める形になっているか

尋ねたあと、答えをどう受け取ればよいか。ここでも、適合しているかどうかの判断はしません。 公表されている規定が何を求めているかと、このサイトの数字で確かめられることだけを書きます。

答えの筋が通っているかを、数字で確かめる

答えに納得できないときの相談先は、「このページでしないこと」に書いています。

このページでしないこと

個別の契約が省令に適合しているかどうかの判断はしません。適用は個別の事情で決まります。 疑問があるときは、まず契約しているガス会社に内訳の説明を求め、それでも解決しない場合は お住まいの地域を管轄する経済産業局の窓口、または消費生活センターへご相談ください。 窓口の使い分けは料金で困ったときの相談先にまとめています。 経済産業省はLPガス商慣行通報フォームも設けています(資源エネルギー庁のページ。受け付ける情報と情報の使いみち)。

ガス会社の紹介も、切り替えの取次ぎもしていません。 このサイトが何をして何をしていないかは、このサイトについてにまとめています。

よくある質問

設備料金が0円なら、設備の費用は料金のどこにも入っていませんか?

入っていないとは限りません。資源エネルギー庁のQ&Aは、0円や「該当なし」とする場合、事業者が客観的な根拠で説明できるようにしておく必要があるとしています。 賃貸でオーナー等に無償で設備を貸与している場合は、その費用を消費者のLPガス料金で回収していると考えられる、とも書いています。 基本料金や従量料金が地域の中で高い側なら、そこに何が入っているかを尋ねる理由になります。

検針票には設備料金の記載が必要ですか?

3つを並べて記載することが求められるのは請求書です。同じQ&Aは、検針票に設備料金を記載することまでは求められていないとしています。 ただし請求書と検針票の内容が共通していることが望ましい、とされています。

請求書に「設備料金」の欄が無いのですが、問題ありませんか?

施行規則第16条第15号の7は、費用を3つに整理して算定根拠を通知することを求めています。該当が無い場合も「0円」「該当なし」と示すことが求められます。 欄が無い場合は、内訳と算定根拠の説明を求めることができます。この規定が個別の契約に適合しているかどうかの判断は、このサイトではしません。

設備料金に、エアコンやWi-Fi機器、ガス警報器、集中監視システムの費用を含めてもよいですか?

第15号の8は、配管やガス器具等の設置等に係る費用以外を、消費設備の貸与等に係る費用として請求しないことを定めています。 ただし、この規定が適用されるのは2025年4月2日以降に結んだ新規契約です。

ガス漏れ警報器の貸与料金は、運用及び解釈の基準が、契約書面で算定の基礎となる項目を説明し費用負担の合意がある場合の主な例として挙げています(第15号の9ただし書)。 集中監視システムやスマートメーターの費用については、施行規則本則にも同基準にも「集中監視」の語は見つからず、設備料金に入るかどうかを直接答えた記述は確認できませんでした。 請求書に載っている場合は、契約時の書面の算定の基礎となる項目に書かれているかを確かめます。個別の請求が適法かの判断は、このサイトではしません。

以前から契約している場合も、同じ規則が適用されますか?

3つに分けて通知する義務(第15号の7)は、新規契約にも既存契約にも適用されます。第15号の8・第15号の9は新規契約だけです。 既存契約については、販売事業者に契約の更新を速やかに行う努力義務があります(附則第3条)。

次に確認すること

設備料金を確かめたあとは、基本料金と従量料金の側を料金の計算方法で自分の請求書の数字に当てはめて、判定に進めます(使用量から基本料金と従量単価を分けて、地域の公表値と並べる手順があります)。

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