都市ガスとLPガスの根拠法令の違い
都市ガスとLPガス(プロパンガス)は、供給の形も、根拠になる法律も違います。
| 都市ガス | LPガス(プロパンガス) | |
|---|---|---|
| 届け方 | 導管でつなぐ | シリンダー(ガスボンベ)などで届ける |
| 根拠の法律 | ガス事業法 | 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法) |
| 届く範囲 | 導管が来ている区域のみ | ボンベを運べれば届く |
集合住宅では戸数で扱いが変わることがあります。従来(2017年3月末まで)の区分では、 小規模で地域を限った需要(70戸以上)へ導管でガスを配る形は「簡易ガス事業」として ガス事業法の側、ボンベで配る形(戸建や69戸以下の集合住宅など)はLPガス販売事業の側でした。 原料がLPガスでも、導管で70戸以上へ配る側には料金の認可を受ける義務がありました。 このサイトが扱うのは、ボンベで配る側です。 出典:電力・ガス取引監視等委員会「ガス小売全面自由化に関するよくあるご質問と回答集」問1(確認日 2026年9月13日)。
簡易ガスの料金は、LPガスの料金と何が違うか
検針票に「簡易ガス」と書かれている、または団地の自治会で「うちは簡易ガス」と聞いた場合、 その料金はこのサイトが扱うボンベ配送のLPガスとは、根拠の法律も、値上げの手続きも別です。 原料がLPガスでも、導管で配る形はガス事業法の側に置かれていました。
| 簡易ガス(旧) | LPガス販売(このサイトの対象) | |
|---|---|---|
| 届け方 | 簡易なガス発生設備でつくったガスを、導管で70戸以上へ | シリンダーなどで配送(戸建や69戸以下の集合住宅など) |
| 根拠の法律 | ガス事業法 | 液石法 |
| 2017年3月末までの料金規制 | 家庭向けの料金に経済産業大臣の認可が必要 | 認可を受ける義務はもともとない |
2017年4月の小売全面自由化の時点で、簡易ガス事業の許可を受けていた事業者は、ガス小売事業者の登録を受けたものとみなされました(みなしガス小売事業者)。 ガス事業法の条文には、いまは「簡易ガス」という言葉は出てきません(確認日 2026年10月14日、e-Gov法令検索)。 一方、同じ回答集には、旧簡易ガスの側の約款として「指定旧供給地点小売供給約款(経過措置約款)」の名前が出てきます。 自分の家がどちらの料金なのかは、契約書面か検針票にある事業者名と料金表の名前で確かめます。 事業者が「みなしガス小売事業者」かどうかは、資源エネルギー庁の登録ガス小売事業者の一覧で調べられます。
出典:電力・ガス取引監視等委員会「ガス小売全面自由化に関するよくあるご質問と回答集」問1・問6(確認日 2026年10月14日)。 ここに書いたのは法的な位置づけです。簡易ガスの料金の金額は、事業者ごとの料金表で決まるため、このページでは扱いません。
値上げに行政審査があるかどうかの違い
都市ガスの小売は2017年(平成29年)4月1日に全面自由化されました。 自由化後は、料金の設定は原則として自由です。ただし、そこで終わりではありません。
ガスの小売全面自由化後も、ガス小売事業者間や他のエネルギー事業者との適正な競争関係が確保されていない地域においては、 適正な競争関係が確保されていると認められるまでの経過措置として、小売料金規制を残すこととしています。 経過措置期間中の一般家庭向けの規制料金については、引き続き認可制とされるため、 値上げに際しては行政の事前審査を経る必要があります。
出典:電力・ガス取引監視等委員会「ガス小売全面自由化に関するよくあるご質問と回答集」問13(確認日 2026年9月13日)
LPガスには、料金規制の経過措置のような仕組みがありません。 料金は各社が自分で決められ、値上げについて行政の事前審査を受ける仕組みにはなっていません。
根拠は、液化石油ガス法(昭和42年法律第149号)と施行規則の全文を確かめた結果です。 法律に「料金」は1か所しか出てこず、それは検査機関の手数料の話(第57条)。 「価格」「標準価格」「変更命令」は1度も出てきません。 「認可」が出てくる条は8つ(第33条・第35条・第35条の3・第38条の18・第38条の20・第38条の21・第38条の26・第86条)で、いずれも保安機関や指定試験機関に関するもので、料金の認可ではありません。 確認日 2026年10月17日、e-Gov法令検索。
2025年4月からは、請求のときに基本料金・従量料金・設備料金の3つに分けて通知し、算定根拠を示すことが義務になりました(設備料金とは)。 ただしこれは「見せ方」を定めたもので、額そのものを審査する仕組みではありません。
同じ地域の中で開く料金差
都市ガスは「その区域の会社の料金表」で決まるので、同じ区域の人はおおむね同じ料金です。 LPガスは会社ごとに自由なので、同じ町でも契約先によって額が違います。
公表データ(資源エネルギー庁のLPガス価格調査、令和8年8月末現在)で見ると、 10m³使ったときの請求は、北海道では最低7,392円から最高16,071円。 同じ地域の中で8,679円の開きがあります。
「プロパンだから高い」で済ませると、同じ地域の中での会社ごとの差を見落とします。 同じプロパンでも、どの会社かで年10万円以上変わることがあるからです。 都市ガスと比べる前に、同じ地域のプロパンの中で自分がどこにいるかを見たほうが、打てる手がはっきりします。 地域ごとの最低・平均・最高の開きはプロパンガスの相場と平均で確かめられます。
同じ地域のプロパンの中で、自分の位置を見る
請求書の基本料金・従量料金・使用量を入れると、あなたの地域の最低・平均・最高のどこにいるかが出ます。
公表されているのは47都道府県と、県内をさらに分けた264地域の計311地域。
判定へ
同じ使用量で、LPガスと都市ガスの請求を並べて読む例
請求書を比べるときは、使用量をそろえ、基本料金・従量料金・設備料金の順に1行ずつ足し上げると、差がどの欄から出ているかが分かります。 下の数字はすべて説明のための仮のもので、実在の請求や特定の会社の料金ではありません。
| 欄 | LPガス(仮) | 都市ガス(仮) |
|---|---|---|
| 基本料金 | 1,800円 | 800円 |
| 従量料金(単価×10m³) | 500円×10=5,000円 | 300円×10=3,000円 |
| 設備料金 | 500円 | この欄なし(仮の例) |
| 合計 | 7,300円 | 3,800円 |
この表は足し算の手順を見せるもので、実際の都市ガスの料金表の数字ではありません。 都市ガスの額は、お住まいの区域のガス会社が公表する料金表で確かめてください。 LPガスの3つの欄の意味と条文の確認日は、この表の上の説明(確認日 2026年9月13日、e-Gov法令検索)と設備料金とはにあります。 自分の請求が同じ地域の中でどこにあたるかは判定で見られます。
自分の請求書で同じ計算をする順番です。
- プロパンの請求書から、使用量(m³)、基本料金、従量単価、設備料金を書き出す。使用量がkgで書かれているときは、1kgは何m³かで換算の考え方を確かめる。
- プロパンは「基本料金+従量単価×使用量+設備料金」を計算し、請求書の合計と合うかを見る。合わないときは、請求書にある別の項目(割引・調整額など)を探す。
- 都市ガスと比べるときは、お住まいの区域のガス会社が公表する料金表を開き、同じ使用量の額を自分で計算する。この表の仮の数字は使わない。都市ガスとLPガスは、同じ1m³でも燃やしたときの熱量が同じとは限らないため、単価を並べるだけでは差額を正しく読めない。熱量(MJ)あたりでそろえる必要があるかは、各社の料金表の注記や供給区域のガス会社に確かめる。
- 差が出た欄(基本料金・従量料金・設備料金のどれか)を特定する。どの欄の差かで、確かめる書類(契約時の書面か、料金表か)が変わる。
- プロパンの額が同じ地域の中で高いか安いかは、判定で、基本料金・従量料金・使用量を入れて確かめる。
都市ガスに替えられるのか
導管が来ていない地域では、そもそも選べません。 都市ガスは導管でつなぐ仕組みなので、区域の外には供給できません。
導管が来ていても、引き込み工事やガス機器の交換が必要になることがあります。 プロパン用と都市ガス用では機器が違うためです。 賃貸なら、そもそも入居者の判断では決められません(賃貸の場合)。
このサイトは切り替えの取次ぎをしていないので、費用の見積もりや業者の紹介はできません。 できるのは、いまの契約が同じ地域の中でどのあたりかを数字で示すことまでです。 それが分かれば、替えるかどうかの判断材料になります。
替えると決めた場合、いまのプロパンガスの契約は解約することになります。 揉めやすいのは設備の精算です(プロパンガスの解約と精算)。
よくある質問
都市ガスとLPガスは、根拠になる法律がどう違いますか?
都市ガスはガス事業法、LPガス(プロパンガス)は液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)が根拠です。届け方も違い、都市ガスは導管でつなぎ、LPガスはシリンダー(ガスボンベ)などで届けます。
LPガスの値上げにも、都市ガスのような行政の事前審査はありますか?
液石法と施行規則の全文を確かめた結果、LPガスには料金の認可や値上げの事前審査の仕組みはありません。都市ガスは、小売全面自由化後も経過措置として残る規制料金に限り、値上げに行政の事前審査が必要です。
同じ地域でも、LPガスの料金に差があるのはなぜですか?
LPガスの料金は各社が自分で決められるため、同じ町でも契約先によって額が変わります。公表データでは、同じ地域の中でも最低と最高に開きがあります。請求書の数字を入れて、自分の地域の分布のどこにいるかを見られます。
都市ガスはなぜ安いと言われるのですか?
理由の一つは、料金の決まり方の違いです。都市ガスは、経過措置として残る規制料金に限り、値上げに行政の事前審査が必要です。LPガスにはその仕組みがなく、各社が料金を決めるため、同じ地域でも額に開きが出ます。このサイトは、どちらが安いかは断定しません。自分の請求が高いかは、請求書の数字を入れて、同じ地域の分布のどこにいるかで確かめられます。
都市ガスとプロパンガスの料金の差額は、どう確かめますか?
同じ使用量で、基本料金・従量料金・設備料金の欄ごとに足し上げて並べます。都市ガスの額は、お住まいの区域のガス会社が公表する料金表で自分で計算します。単位あたりの熱量が違うため、単価だけを並べると差額を読み違えることがあります。このサイトは都市ガスの料金を載せていません。プロパンガスの額が同じ地域の中で高いかどうかは、請求書の数字を入れて、地域の分布のどこにいるかで確かめられます。
次に読むページ
- 検針票の読み方 プロパンガスの請求書のどの欄を見ればよいか。
- プロパンガスの基本料金 料金が自由に決められるとき、まず位置を見る欄。
- 料金変更の事前通知 値上げの前に、どんな通知が求められるか。
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プロパンガスの相場と平均 同じ地域の中でどれだけ差が開くか。
プロパンガスの値上げ LPガスの値上げに行政の審査は入りません。相場がどう動いたかは自分で見るしかありません。
プロパンガス料金の判定 都市ガスと比べる前に、同じ地域のプロパンの中での位置を見る。
一人暮らしのプロパンガス代 使う量が少ないほど、基本料金の割合が高くなります。