プロパンガスの解約と精算

揉めるのはたいてい設備の精算です。その計算方法は、契約したときの書面に書いてあるはずです。

結論を先に。 設備の精算額の計算方法は、契約締結時に交付される書面の記載事項です(施行規則第13条第6〜9号)。解約時に金額を示されたら、まずその書面で所有関係と計算方法を確かめます。手元になければ、販売事業者に書面の交付を求められます(同条第3項)。 解約の申し出があり要求した場合、販売事業者は所有する供給設備を遅滞なく撤去することとされています(第16条第16号。撤去が著しく困難な場合などは例外)。 個別の精算額が適正かどうかは、このサイトでは判断しません。

解約でいちばん問題になりやすい設備の精算

プロパンガスでは、ガス会社が配管や給湯器などを設置していることがあります。 その設備の所有者がガス会社のままだと、解約のときに「残っている分を精算してほしい」と言われることがあります。

ここで「聞いていない」「金額の根拠が分からない」となりがちですが、実は、契約したときに渡される書面へ 書いておくべき事項として定められています。

契約時の書面に書いてあるはずの4つ

液化石油ガス法第14条を受けた施行規則(法律を実施するための省令)第13条は、契約締結時に交付する書面の記載事項を定めています。 解約に関わるのは次の4つです。

号書いてあるはずのこと
第6号供給設備及び消費設備の所有関係
第7号供給設備及び消費設備の設置、変更、修繕及び撤去に要する費用の負担の方法
第8号ガス会社の所有する消費設備を使う場合に支払うべき費用の額及び徴収方法
第9号配管について、解約時に所有権を移転する場合の「精算額の計算方法」

第9号の原文はこうです。

消費設備に係る配管について、液化石油ガスの販売契約解除時に液化石油ガス販売事業者から一般消費者等に 所有権を移転する場合の精算額の計算方法 (当該配管の所有権が液化石油ガス販売事業者にある場合に限る。)

出典:e-Gov法令検索「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則」第13条第9号

「いくら」ではなく「どう計算するか」が、あらかじめ書いてあるべき事項とされています。 解約時に提示された金額の根拠を尋ねるとき、この書面が出発点になります。

数字を使った例(仮の計算方法)

下の表は、書面の計算方法に当てはめて金額を確かめる流れを示すための仮の数字です。実際の計算方法は、手元の書面に書かれているものが正です。

確かめること仮の例
書面の計算方法(仮)配管の設置費用 80,000円 を 10年で均等に割り、残りの年数ぶんを精算する
設置から解約までの年数(仮)4年(残り 6年)
計算(仮)80,000円÷10年×6年=48,000円
提示額が 60,000円 だったとき書面の方法で出した額と12,000円違うので、計算の内訳を尋ねる

解約のとき精算や撤去を求められた設備が、そもそもガス会社の持ち物なのかは、契約時の書面の所有関係の欄で確かめます。 会社の設備を使う場合に供給開始までに何が確認されているかは、設備の所有の確認と契約書面の費用で整理しています。

設備の撤去に関する2つの決まり

会社を替えるとき、設備の撤去が進まないと切り替えられません。ここにも規定があります。

前の会社に対して(第16条第16号)

一般消費者等から液化石油ガス販売契約の解除の申し出があった場合において、当該一般消費者等から要求があった場合には、 液化石油ガス販売事業者はその所有する供給設備を遅滞なく撤去すること。 ただし、撤去が著しく困難である場合その他正当な事由があると認められる場合は、この限りでない。

出典:e-Gov法令検索「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則」第16条第16号

次の会社に対して(第16条第15号の10)

新たに一般消費者等に対し液化石油ガスを供給する場合において、…他の液化石油ガス販売事業者の所有する供給設備が 既に設置されているときは、…解除の申し出があってから相当期間が経過するまでは、 当該供給設備を撤去しないこと。 ただし、当該供給設備を撤去することについて当該液化石油ガス販売事業者の同意を得ているときは、この限りでない。

出典:e-Gov法令検索「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則」第16条第15号の10

前の会社には「求められたら遅滞なく撤去する」、次の会社には「勝手に撤去しない」。 どちらも、切り替えのときに設備をめぐって止まらないようにするための規定です。

確かめる順番

  1. 契約時の書面を探す。 設備の所有関係(第6号)と、配管の精算額の計算方法(第9号)が書いてあるはずです。 手元に無くても、求めれば出してもらえます。 同じ施行規則の第13条第3項が、「相手方からの求めがあったときは、その者に対し、契約締結時交付事項等を記載した書面を交付しなければならない」と定めています。 電子的な方法で受け取っていた場合も同じです。お願いではなく、求めれば出すことになっている書類です。
  2. 精算を求められたら、計算の根拠を書面と突き合わせる。 書いてある計算方法と、提示された金額が合っているかを見ます。
  3. いまの料金が地域のどのあたりかを確かめる。 替えるかどうかを決める材料になります。精算額を払ってでも替えるかは、いまの位置が分からないと判断できません。
  4. 設備の撤去で止まっているなら、上の2つの規定を確かめる。

解約・切り替えの前に確かめるものと、次に読むページ

確認するもの見る場所次に読むページ
いまの請求の内訳(基本料金・従量料金・設備料金)と使用量検針票・請求書プロパンガスの検針票の読み方
設備の所有関係、配管の精算額の計算方法契約時に交付された書面(手元になければ求める)契約時の書面(14条書面)の記載事項
配管が消費者のものになる場合の精算の考え方契約書面の配管に関する記載解約時の配管の所有権移転
切り替えを妨げる条件が契約に付いていないか契約書面。賃貸では貸主・管理会社との契約切替えを制限する条件付き契約の禁止

上から順に見ると、精算額を払ってでも替えるかを判断する材料がそろいます。個別の契約が省令に適合するかの判断はこのサイトではしません。

いまの料金の位置を見る
請求書の基本料金・従量料金・使用量を入れると、あなたの地域の最低・平均・最高のどこにいるかが出ます。 公表されているのは47都道府県と、県内をさらに分けた264地域の計311地域。 判定へ

賃貸の場合の前提の違い

賃貸では、そもそも入居者の一存でガス会社を替えられません。契約しているのが大家さんや管理会社のことも多く、 解約や精算の当事者が自分ではない場合があります。詳しくは賃貸の場合へ。

ボンベ(容器)の所有と、解約時の残ガス

ボンベは、条文のうえでは供給設備の一部に当たると読めます。施行規則第1条第5号は貯蔵設備を貯槽・バルク貯槽・容器の場合に分けて扱い、第3条は供給設備に貯蔵設備を含めています。 そのため、容器の所有関係と費用の負担も、契約時の書面に書く「供給設備の所有関係」(第13条第6号)と「設置・撤去に要する費用の負担の方法」(第7号)の中で確かめます。

販売事業者が所有する容器は、解約の要求があれば遅滞なく撤去することとされています(第16条第16号、上の「前の会社に対して」と同じ規定)。ボンベ交換のときに事業者が守る決まりはプロパンガスのボンベ交換で事業者が守る決まりにあります。 容器の中に残っているガスについては、施行規則第1条が「残ガス容器」(現に液化石油ガスを充てんしてある容器のうち、充てん容器以外のもの)の語を定義しているだけです。 残ガスをどう精算するか、その額をどう計算するかを定めた条文は、確認できませんでした。 請求された額は、契約時の書面に残ガスの扱いが書かれているかを確かめ、書かれていなければ販売事業者に算定の根拠を尋ねます。

このページでしないこと

個別の契約について、精算額が妥当かどうか、支払う義務があるかどうかの判断はしません。 契約の内容と事情によって変わり、法律の専門家でなければ扱えない領域です。 ここで示せるのは、制度上どこに何が書いてあるはずかと、 いまの料金が地域のどのあたりかまでです。

話しても解決しない場合は、お住まいの地域を管轄する経済産業局の窓口、または消費生活センターへご相談ください。 経済産業省はLPガス商慣行通報フォームも設けています。匿名で出せるかや対象となる情報は商慣行通報フォームのページにまとめました。

よくある質問

契約時の書面を電子で受け取り、紙が手元にない場合はどうしますか?

電子的な方法で受け取っていた場合でも、施行規則第13条第3項は、相手から求めがあれば契約締結時の事項を記載した書面を交付するよう定めています。 まず販売事業者へ、設備の所有関係と費用負担、精算額の計算方法が載った書面を求めてください。

解約時の配管の精算額は、どこを見れば分かりますか?

配管を販売事業者が所有し、解約時に消費者へ所有権を移す場合は、施行規則第13条第1項第9号が「精算額の計算方法」を契約時の書面に記載する事項としています。 提示された額だけでなく、その計算方法と突き合わせて確かめます。

解約を申し出たら、前の会社の設備はすぐ撤去されますか?

施行規則第16条第16号は、契約者から要求があった場合、販売事業者が所有する供給設備を遅滞なく撤去するよう定めています。 ただし、撤去が著しく困難な場合など、正当な理由がある場合は例外です。

次の会社が、前の会社の設備を撤去してもよいですか?

施行規則第16条第15号の10は、解除の申し出から相当期間が過ぎる前に、次の販売事業者が前の販売事業者の供給設備を撤去しないよう定めています。 前の販売事業者の同意がある場合は例外です。個別の撤去が規定に適合するかの判断は、このサイトではしません。

解約するとき、ボンベに残ったガスの精算額は決まっていますか?

施行規則は「残ガス容器」の意味を定めていますが、残ガスの精算額やその計算方法を定めた条文は確認できませんでした。 請求された額は、契約時の書面に残ガスの扱いが書かれているかを確かめ、書かれていなければ販売事業者に算定の根拠を尋ねます。個別の額が妥当かの判断は、このサイトではしません。

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出典