ガス開栓・閉栓の手数料は違法か(条文に定めはない)
引っ越しでガスを止める手続きを「閉栓」、使えるようにする手続きを「開栓」と呼びます。 この2つの言葉は、液化石油ガス法(LPガスの取引と保安を定める法律)にも、その施行規則(法律を実施するための省令)の本則にも、1回も出てきません(e-Gov法令検索で2026年10月11日に検索)。 つまり、閉栓や開栓の手数料の有無・金額は、条文では決まっていません。
一方で、引っ越しに関わる設備の撤去・配管の精算・設備の所有の確認・費用の算定根拠の通知は、条文に決まりがあります。 このページでは、条文のある費用とない費用を分けて、どこで確かめるかを並べます。
引っ越しで出てくる費用を、条文の有無で分ける
| 費用・手続き | 条文の定め | 確かめる場所 |
|---|---|---|
| 閉栓・開栓の手数料 | この名目の定めは、法律・施行規則の本則に見当たらない | 契約時の書面の料金の項目、事業者の料金表 |
| 供給設備(容器など、事業者が持つ設備)の撤去 | 第16条第16号:解除の申し出のあと、契約者の要求があれば遅滞なく撤去(著しく困難な場合などは例外) | 契約時の書面(撤去に要する費用の負担の方法) |
| 事業者が所有する配管の精算 | 第16条第17号:契約者が別段の意思表示をする場合などを除き、適正な対価で所有権を移す | 契約時の書面(精算額の計算方法) |
| 事業者所有の消費設備を使う費用 | 施行規則第13条第1項第8号:支払うべき費用の額と徴収方法を書面に記載 | 契約時の書面 |
| 料金・費用の内訳 | 第16条第15号の7:消費量にかかわらず生ずる費用、消費量に応じた費用、消費設備の貸与等の費用に整理し、算定根拠を通知 | 請求書・検針票と、算定根拠の通知 |
表のうち、条文に名目がある行は、書面と請求書の項目で確かめられます。 1行目の閉栓・開栓の手数料だけは、条文から金額も有無も言えません。 請求される場合は、契約時の書面の料金の項目か、事業者の料金表に載っているかを、事業者へ確かめます。
今の家を出るとき(退去)に確かめること
- 書面の所有関係:供給設備と消費設備の所有関係は、契約時の書面の記載事項です(施行規則第13条第1項第6号)。
- 設備の撤去:契約を解除して要求すれば、事業者は所有する供給設備を遅滞なく撤去します(第16条第16号)。撤去の費用を誰が持つかは、書面の記載事項です(施行規則第13条第1項第7号)。
- 配管の精算:事業者が所有する配管は、解約時に契約者へ所有権を移す場合があり、精算額の計算方法が書面に書かれているはずです(施行規則第13条第1項第9号、第16条第17号)。詳しくはプロパンガスの解約と精算で。
- 最後の請求:使用量の最後の月の基本料金などの扱いはガスを使わなかった月の請求で整理しています。
新しい家に入るとき(入居)に確かめること
- 設備の所有の確認:事業者が所有する消費設備を使う場合、事業者は供給開始時までに、その設備が事業者の所有であることを契約者に確認します(第16条第11号)。
- 料金表の提示(賃貸の場合):契約する人と建物の所有者が違う場合、事業者は、賃貸借契約の前に料金表などを提示するよう努めます(第16条第15号の2)。努力義務で、必ず提示とは限りません。詳しくは入居前の料金表で。
- 大家さんが負担すべき費用:契約者と建物の所有者が違う場合、所有者が本来負担すべき消費設備の費用を、契約者へ請求しない決まりがあります(第16条第15号の9)。事業者と契約者が負担方法に合意している場合は例外です。
- 書面の受け取り:契約したときは、事業者が遅滞なく書面を交付します(液化石油ガス法第14条)。手元に無いときの求め方は契約時の書面の記載事項にあります。
書面や請求書を見るときの順番
- 契約時の書面で、料金の算定方法・算定の基礎となる項目(施行規則第13条第1項第5号)に、手数料にあたる項目があるかを見る。
- 見当たらなければ、事業者の料金表と、請求書の内訳を見比べる。
- 請求書の費用が、消費量にかかわらず生ずる費用・消費量に応じた費用・設備の貸与等の費用のどれかに整理されているか、算定根拠が通知されているかを見る(第16条第15号の7)。
- それでも分からない項目は、事業者へ書面での説明を求める。事業者の対応に問題があるときの窓口は商慣行通報フォームのページにあります。
引っ越し月の最後の検針票を読む計算例
退去月の最後の請求は、基本料金+従量単価×使用量の形で試算できます。 表の数字は仮のものです。計算の考え方は料金の計算のページにあります。
| 最後の月の使用量 | 基本料金を月額のまま請求する場合 | 基本料金を日割りにする契約の場合(30日中15日で閉栓と仮定) |
|---|---|---|
| 3m³ | 2,000円+600円×3m³=3,800円 | 2,000円×15÷30+600円×3m³=2,800円 |
| 8m³ | 2,000円+600円×8m³=6,800円 | 2,000円×15÷30+600円×8m³=5,800円 |
月の途中で閉栓したときに基本料金を日割りにするかどうかは、販売店ごとに違います。 どちらの扱いかは、契約時の書面の料金の算定方法か、事業者の料金表で確かめてください。 日割りの有無を定めた条文を、このページでは確認していません。 設備料金や閉栓の手数料が別にかかる場合は、この表には含めていません。
引っ越しの前・入居時・請求後に、誰に何を尋ねるか
上の確認事項を、時期の順に並べ直した表です。条文の根拠は、表の右端の列にある項目だけです。 「書面で残す」は、あとで確かめられるようにするための進め方で、条文が求めているわけではありません。
| 時期 | 誰に尋ねるか | 尋ねること | 書面で残すもの | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 退去の前 | 今のガス事業者 | 供給設備の撤去と、撤去の費用を誰が持つか | 契約時の書面の該当箇所 | 第16条第16号、施行規則第13条第1項第7号 |
| 退去の前 | 今のガス事業者 | 事業者所有の配管があるか、あるときの精算額の計算方法 | 契約時の書面の精算額の計算方法 | 第16条第17号、施行規則第13条第1項第9号 |
| 退去の前 | 今のガス事業者 | 閉栓の手数料を請求するのか。請求するなら、どの書面・料金表のどの項目か | 手数料の項目が載る料金表や書面 | 条文に定めなし(本則に見当たらない) |
| 入居の前 | 不動産会社・大家さん | 賃貸の場合、ガスの料金表を契約の前に見られるか | 提示された料金表 | 第16条第15号の2(努力義務) |
| 入居時 | 新しいガス事業者 | 使う消費設備が誰の所有か、設備の費用の額と徴収方法 | 契約書面の所有関係と費用の欄 | 第16条第11号、施行規則第13条第1項第6号・第8号 |
| 入居時 | 新しいガス事業者 | 開栓の手数料を請求するのか。請求するなら、どの書面・料金表のどの項目か | 手数料の項目が載る料金表や書面 | 条文に定めなし(本則に見当たらない) |
| 入居後 | 新しいガス事業者 | 契約書面が手元に届いているか | 交付された契約書面 | 液化石油ガス法第14条 |
| 最初の請求のあと | 新しいガス事業者 | 請求書の内訳が3つの区分に整理され、算定根拠が通知されているか | 請求書と算定根拠の通知 | 第16条第15号の7 |
このページでしないこと
- 閉栓・開栓の手数料の相場や金額は示しません。条文に定めが無く、一次資料で確かめられた額が無いためです。
- 事業者の紹介や、引っ越しに合わせたガス会社の切り替えの取次ぎはしません。
引っ越し先の請求額は、地域の分布で位置づけられます
請求書の基本料金・従量料金・使用量を入れると、あなたの地域の最低・平均・最高のどこにいるかが出ます。
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よくある質問
プロパンガスの閉栓・開栓の手数料は、法律で決まっていますか?
液化石油ガス法と施行規則の本則には、閉栓・開栓という言葉が出てこず、手数料の有無も金額も決められていません。請求される場合は、契約時の書面の料金の項目や事業者の料金表で確かめます。判断は、このサイトではしません。
解約するとき、事業者の設備は撤去してもらえますか?
施行規則第16条第16号は、契約の解除の申し出があって契約者から要求があった場合、事業者が所有する供給設備を遅滞なく撤去するよう定めています。撤去が著しく困難な場合などは例外です。
入居するとき、設備が誰のものかは確認されますか?
事業者が所有する消費設備を使う場合、施行規則第16条第11号により、事業者は供給開始時までに、その設備が事業者の所有であることを契約者に確認します。
賃貸で、大家さんが負担すべき設備の費用を請求されることはありますか?
第16条第15号の9が、所有者が本来負担すべき消費設備の費用を契約者へ請求しないよう定めています。事業者と契約者が負担方法に合意している場合は例外です。個別の請求が当たるかの判断は、このサイトではしません。
関連するページ
プロパンガスの解約と精算 配管の精算額と、設備の撤去の決まり。
契約時の書面の記載事項 書面に書いてあるはずの項目と、手元に無いときの求め方。
入居前の料金表 賃貸の契約前に料金表を見る決まり。
賃貸の場合 会社は替えられなくても、確かめられること。
ガスを使わなかった月の請求 使用量0の月に残る料金。
出典
- e-Gov法令検索「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」第14条(書面の交付):契約時の書面の根拠。本則に「閉栓」「開栓」の語は無い(確認日 2026年10月25日)
- e-Gov法令検索「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則」第13条(書面の記載事項等)・第16条(販売の方法の基準):撤去・配管の精算・設備の所有の確認・費用の算定根拠の通知の根拠。本則に「閉栓」「開栓」の語は無い(確認日 2026年10月25日)