入居したあとで料金を知る、という問題
賃貸の集合住宅では、入居者は、オーナーや不動産管理会社が選んだLPガス事業者としか契約できない、という制約があります。 経済産業省は、賃貸集合住宅の消費者が入居したあとで初めてLPガス料金を知ることが多く、料金に不満があっても受け入れるしかない状況にあることを問題にしています。
そこで、入居する前に料金が分かるようにするため、LPガス事業者が料金表を示す仕組みが作られました。 このページは、その仕組みを、施行規則と、経済産業省・国土交通省の資料で確かめたものです。
施行規則が定めていること(提示は「努めること」)
液化石油ガス法の施行規則(法律を実施するための省令)は、LPガス販売事業者に、次のことを求めています。
- 契約する人(入居者)と、ガス設備のある建物の所有者が別であること。
- 入居者と所有者などとの賃貸借契約が結ばれる前に、入居者に直接、またはオーナーなどを通じて、料金表などを示すよう努めること。
この規定は2024年7月2日に施行されました。 条文の言い方は「示すよう努めること」で、「示さなければならない」とは書かれていません。
事業者に求められていること(指針)
資源エネルギー庁の「取引適正化指針」(2024年7月2日改訂、LPガス販売事業者が守るべきことをまとめたもの)は、この規定を受けて、事業者に次の3つを求めています。 「不動産関係者」とは、オーナーや不動産管理会社などです。
- 日ごろから、その住宅の料金表などを不動産関係者に渡しておく。
- 渡した料金が変わったら、遅れずに、変更後の料金表をもう一度渡す。
- 不動産関係者から、渡した料金について問い合わせがあれば、適切かつすばやく答える。
指針は、消費者から直接、料金などの問い合わせがあったときも、事業者は答えなければならないとしています。 また、その住宅の料金表ではなく、標準的な料金メニューを示すことは問題になりうるともしています。 標準的な料金メニューの公表は、別のページで説明している別の求めです。
不動産会社とオーナーに求められていること(国土交通省)
国土交通省は、2024年2月29日付けの事務連絡で、不動産関係の団体に、次のように周知を求めました。
- 入居者を仲介する不動産会社は、オーナーや管理会社からLPガス料金表などを受け取っている場合、入居を希望する人にあらかじめ情報を知らせる。
- オーナーや管理会社が、不動産会社を通さず入居者と直接契約する場合も、入居を希望する人にあらかじめ情報を知らせるようお願いする。
これは、団体を通じた周知の依頼です。法令の義務として書かれたものではありません。
料金表に載る項目
経済産業省は、事業者への依頼文の別添で、料金表の例を示しています。例に載っている項目は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時点 | 「令和○○年○○月現在」という、料金表の日付 |
| 物件・事業者 | 物件の名称、部屋番号など、販売事業者名、連絡先(電話番号) |
| 基本料金 | 月額(消費税込み) |
| 従量料金 | 使用量の区分ごとの金額(消費税込み) |
| 設備料金 | 例では「該当なし」と書かれている |
| 原料費調整制度による調整額 | 算出方法と、現時点の調整額。現在の調整額は連絡先へ問い合わせてほしい、という案内文も例にある |
| 使用量別の料金早見表 | 月の使用量ごとの料金(消費税込み) |
依頼文は、事業者に、例に載っている項目のうち料金早見表以外は、必ず料金表に書くよう求めています。 これは経済産業省が示した例であり、実際の料金表の書き方が、これと完全に同じとは限りません。
入居前に確かめる順番
- 物件のLPガス事業者名と、料金表があるかを、不動産会社に尋ねる。 料金表には、事業者名と連絡先が載ります。
- 料金表がないと言われたら、LPガス事業者に直接、料金表を示すよう求める。 国土交通省は、料金表などが事業者から提供されていない場合に、事業者へ直接要請すれば示してもらえることを、入居しようとする人へ伝えることが考えられるとしています。
- その住宅の料金表か、標準的な料金メニューかを見る。 標準的な料金メニューだけを示された場合は、その住宅の料金表を求めます。
- 基本料金・従量料金・設備料金・原料費調整制度の4つを見る。 設備料金が「該当なし」かどうかも確かめます。
- 基本料金と従量単価が、地域の中で高い側か低い側かを見る。 地域ごとの開きは、基本料金とはと従量単価とはで確かめられます。
入居後に請求書が届いたら、自分の位置を数字で確かめる
請求書の基本料金・従量料金・使用量を入れると、あなたの地域の最低・平均・最高のどこにいるかが出ます。
47都道府県と、県内をさらに分けた264地域の計311地域で比べられます。
氏名・住所・電話は聞きません。判定へ
料金表を見せてもらえないとき
施行規則の定めは「示すよう努めること」なので、見せてもらえなかったからといって、このページから違反だと決めつけることはできません。 入居する前なら、料金表を示してもらえる物件かどうかを、物件を選ぶ材料にできます。 困ったときは、お住まいの地域を管轄する経済産業局の窓口、または消費生活センターへ相談します。 経済産業省はLPガス商慣行通報フォームも設けています。
このページでしないこと
個別の事業者や不動産会社が、規定に沿っているかを判断したり、高い・安いを評価したりはしません。 ガス会社の紹介や乗り換えの取次ぎもしていません。 入居したあとのガス会社の変えにくさは、賃貸の場合で説明しています。
関連するページ
- 賃貸の場合 ガス会社は替えられなくても、設備の費用の付け替えは確かめられる。
- 設備料金とは 料金表の「設備料金」が「該当なし」のとき、確かめること。
- 切替えを制限する条件付き契約の禁止 ガス会社を変えることを妨げる契約は禁じられている。
- 契約時の書面(14条書面)の記載事項 契約したときに渡される書面に書いてあるはずのこと。