ガス会社の切替えを制限する条件付き契約の禁止

「賃貸だからガス会社は変えられない」「乗り換えを断られた」と言われたときに、まず確かめる決まりです。LPガス法の施行規則は、販売事業者が切替えを制限する条件付きの契約を結ぶことを、2024年7月2日から禁じています。賃貸と持ち家での違いと、手元の書面で確かめる順番を、資源エネルギー庁の説明資料とe-Govの条文で整理しました。

ガス会社の切替えを制限する条件付きの契約は、販売事業者が結んではいけない

LPガス法の施行規則(法律を実施するための省令)は、LPガスを売る会社(販売事業者)に対し、ガス会社を変えることを制限するような条件を付けた契約を結ぶことを禁じています。 経済産業省令の改正で加わった決まりで、「過大な営業行為の制限」と呼ばれる2つの禁止のうちの1つです。 もう1つは正常な商慣習を超えた利益供与の禁止です。

このページは、その禁止が賃貸と持ち家でどう書き分けられているかを、資源エネルギー庁の 説明資料(令和6年7月12日付、近畿経済産業局の説明会で配られたもの)と、e-Govの条文で確かめたものです。

賃貸と持ち家で、契約の相手が変わります

場面条文の号販売事業者が結んではいけない契約
賃貸(建物の所有者と、住む人が別)施行規則第16条第15号の5建物の所有者等との間で、入居者がガス会社を変えることを制限するような条件を付けた貸与契約等
持ち家(建物の所有者と、住む人が同じ)施行規則第16条第15号の6住む人との間で、ガス会社を変えることを制限するような条件を付けた販売契約等

条文の書き方は、どちらも「締結しないこと」です。つまり、禁じられているのは販売事業者の側の契約のしかたです。 入居者に、会社を選ぶ権利を新たに与える決まりではありません。 賃貸では、この契約の相手は入居者ではなく建物の所有者等です。

切替えを断られたとき・条件を示されたときの確認

言われたことごとに、手元で確かめる書面と次の動きを整理しました。当たるかどうかの判断は、このページでは行いません。

言われたこと確かめる書面次の動き
切替えはできないと断られた契約時に渡された書面に、解約や切替えの条件が書いてあるか書いてある条件の根拠を事業者に尋ねる。契約時の書面の記載事項で項目を確かめる
違約金や設備の買取りを求められた書面にある設備の精算の方法と、金額の算定の根拠算定の根拠の説明を求める。精算の考え方は解約と精算
長期の契約の継続を前提にした条件を示された書面にある契約期間と、解約のときの扱い説明に納得できなければ通報フォームの使い方、地域の相談先は自治体の支援

いつから禁じられているか

この禁止は、賃貸(第15号の5)も持ち家(第15号の6)も同じ2024年7月2日に施行されました。 資源エネルギー庁の資料では、過大な営業行為の制限と、入居前の料金情報の提供が2024年7月2日、 請求を3つに分けて通知する三部料金制の徹底が2025年4月2日の施行とされています。 設備料金(消費設備の貸与にかかる費用)の決まりとは、施行日が別です。

どんな契約が問題になりうるか

資源エネルギー庁の「液化石油ガスの小売営業における取引適正化指針」(令和6年7月2日改訂)は、この禁止(施行規則第16条第15号の5・第15号の6)について、次の3つの条件を設けて消費者の選択を不当に阻害することは問題となりうると例示しています。

指針はさらに、切替え営業を代行する事業者や契約の仲介をする事業者へ支払う報酬が違約金に含まれて高額になると、切替えを妨げる効果があることにも留意するよう求めています。 また、消費者からの解除や自動更新を拒否する申出に応じないこと、その手続の方法を示さないことは「適切ではない」とされています。

これらは「問題となりうる」例であり、どの契約が法令に反するかは取引の内容や影響などを総合して個別に判断されます。 自分の契約が当たるかどうかを、このページで決めることはできません。

なぜ設けられたか

設備の費用を負担した会社が、ほかの会社へ切り替えられないよう契約に条件を付ければ、囲い込みが続きます。 資料は、こうした商慣行そのものを是正し、消費者がLPガス事業者を選びやすい環境を整えることを、規定の趣旨としています。 「無償貸与」の仕組みと利益供与の側は正常な商慣習を超えた利益供与の禁止、設備料金に入れてよい費用の線引きは設備料金に入れてよい費用・いけない費用にあります。

事業者に求められていること

指針は、事業者が個々の契約の条件について、切替えを不当に制限するものではないことを、対外的に根拠をもって説明でき、第三者から妥当と評価されるようにしておく必要があるとしています。 また、新規の契約では建物の所有者と配管の所有者を一致させ、貸付配管を行わない方向で取り組むことが望ましいとされています。 貸付配管とは、販売事業者が建物内のガス配管の所有権を持ったままガスを供給する商慣行のことです。

違反した場合に、事業者が受けうる措置

この禁止は施行規則第16条に置かれているため、報告の求めと立入検査、勧告(従わなければ公表)、基準に適合させる命令(違反すると登録の取消し)、30万円以下の罰金の対象になります(資料による)。 同じ第16条の禁止なので措置は利益供与の禁止と共通で、一覧は販売の基準の早見表にあります。

契約の内容を請求書の額に当てはめる例

契約書面で「解約のときに設備の費用を精算する」といった条件を見つけたら、毎月の請求のどの部分に関わるかを、自分の額で当てはめて整理できます。 たとえば基本料金1,800円、従量単価500円/m³、設備料金500円の仮の契約で10m³使うと、請求は1,800円 + 500円 × 10m³ + 500円 = 7,300円です。 使用量が変わっても残るのは基本料金と設備料金の2,300円で、使った量で動くのは従量料金の5,000円です。 書面の条件がこのうちどれに関わるのかを、会社へ尋ねる前に自分で確かめておけます(数字はどれも説明のための仮のものです)。 このページは、その条件が禁止に当たるかどうかを判断しません。

請求額が下がったとき、切り替えの費用を何か月で取り戻すか

設備の精算など、契約を変えるときに費用がかかる場合は、月々の請求額の差が年間でいくらになるかと、費用を取り戻すまでの月数を計算で確かめられます。 どんな費用がいくらかかるかは契約書面で確かめます(精算の考え方は解約と精算)。数字はどれも説明のための仮のものです。

切り替えに伴う費用を15,000円と仮定した計算
月々の請求額の差年間の差額費用を取り戻すまで
1,000円 1,000円×12=12,000円 15,000円÷1,000円=15か月
500円 500円×12=6,000円 15,000円÷500円=30か月

月々の差が小さいほど、取り戻すまでに長くかかります。使用量が季節で変わる場合、月々の差も変わるため、請求書の1年分で確かめてください。 自分の請求額が地域のどのあたりかは判定、地域の最低・平均・最高は相場と平均で見られます。 このページは特定のガス会社への切り替えをすすめるものではありません。

気になったときに

自分の請求額が地域のどのあたりかを見る
請求書の基本料金・従量料金・使用量を入れてください。 47都道府県と、県内をさらに分けた264地域の計311地域の最低・平均・最高のどこにいるかが出ます。 判定へ

このページでしないこと

個別の契約や、個別のガス会社が禁止に当たるかどうかは判断しません。 契約を解除するときの設備の精算は解約と精算で扱っています。

次に確認すること

よくある質問

ガス会社を変えることを制限する契約は、禁じられていますか?

施行規則は、販売事業者が、ガス会社を変えることを制限するような条件を付けた貸与契約や販売契約などを締結しないよう定めています。禁じられているのは販売事業者の側の契約のしかたで、入居者に会社を選ぶ権利を新たに与える決まりではありません。

賃貸と持ち家で、何が違いますか?

契約の相手が違います。賃貸では、建物の所有者等との間の貸与契約等が対象で、契約の相手は入居者ではありません。持ち家では、住む人との間の販売契約等が対象です。

どんな契約が問題になりうるのですか?

資源エネルギー庁の取引適正化指針(令和6年7月2日改訂)は、契約の解除を一切もしくは長期間認めない条件、月々の料金に照らして高額な違約金や貸与設備の買取条項・返金条項、更新を拒否できる期間を極めて短くした自動更新の3つを、問題となりうる例に挙げています。個別の契約が当たるかの判断は、このサイトではしません。

禁止に反した事業者には、どんな措置がありますか?

資料によると、この禁止は施行規則第16条に置かれているため、経済産業省による報告の求めと立入検査、勧告、基準に適合させる命令の対象になります。命令に違反すると登録の取消しにつながります。

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出典